10月になりました。4月の入学式・始業式から半分が経過し、学校生活の後期に突入です。各学部の修学旅行や宿泊学習もほぼ終わり、それぞれ計画にしたがってこの時期に即した活動・取組みが行なわれています。
小学部や中学部は、秋の季節を利用し、買い物学習や清掃活動に出かけたり畑の収穫物を使った調理活動・パーティなどを企画し実践したりしているところが多いようです。高等部は、この時期はメインの活動である後期産業現場実習があり、9月の最終週に高等部1年生、10月の1~2週目は2年生、3~4週目は3年生が企業や事業所に出向き学習を行なっています。
現在行なっている2年生の実習先のいくつかに、私も担当の教員と共に訪問し、生徒の活動を見せていただきましたが、皆学校での作業や実習での様子より立派だなというのが率直な感想です。言葉遣いや仕事に向かう姿勢など、学校で見せる姿とずいぶん違うなと感じることもあります。(もちろん学校での姿と変わらない生徒もいますが)
緊張しているからとか猫をかぶっているとか、見方や評価はいろいろあるのかもしれませんが、学校にいるときよりもしっかりしなければならないと意識しているわけであり、実習が将来の生活に直結するかもしれないということを理解できている証明です。仕事に対する責任感や使命感は、学校の実習だけではなかなか身につかないし、失敗やミスが許されないというのも周囲の大人の様子を見たり聞いたりして学ぶことができます。
卒後の自立と社会参加をめざす中で、この現場実習が果たす役割は何物にも代えられません。ただし、実習の期間が終わればまた元通りでは何の進歩もなく、卒業を目前にして慌てることになってしまいます。むしろ実習が終わってからが最も大切です。働くために自分には何が不足しているのか、何が課題なのかをしっかりと整理し、その課題を解決するために学校生活を改善することが必要になります。ぜひ、反省会で指摘を受けたことを共有し、次のステップへと進めてください。
私が訪問して感じたことは、一生懸命にやろうという意欲や、仕事に対する姿勢などは十分評価が高いと思います。技術や手先の技能は経験者と比べると落ちるのは当然ですが、むしろその辺りで判断されることはあまりないのではと思います。一番大切なのはコミュニケーションを進んで行なうこと、明るく誰からも愛されることなのではないでしょうか。
「元気があれば何でもできる!」そのためにも、学校や家庭が子ども達にとって安心できる場で在り続けなければなりません。
平成29年10月10日
山形県立米沢養護学校
校 長 大 原 良 紀