6月は、高等部生徒にとって大変大事な学習である「産業現場での実習」がありました。実習開始の2週間ほど前に、置賜地区において連日感染者が発生し、地区内で感染者が増加傾向となりました。学校では、予定していた説明会を急遽取りやめて、説明を個別面談の形で行い、実習先との打ち合わせも教員のみで行うようにして何とか準備を調えました。
結果として、新型コロナに関わる事情から、この度の実習を見送らざるを得なかったり、途中で実習を中止したりせざるを得ない生徒もいましたが、多くの生徒は予定どおり実習を行うことができて、校内での学習では学ぶことができない大事なことを、それぞれ学ぶことができたようでした。

段ボール箱の解体作業を行う生徒
私は、今回は2つの企業を訪問し、生徒の実習の状況を視察してきました。
一つ目は、サクサテクノ株式会社第三工場です。こちらでは、高等部3年生徒1名がお世話になり、訪問した際は、治具を使ってプラスチック部品のバリ取りをしていました。担当の方からは、大変呑み込みが早く、作業も正確で、戦力になっているとほめていただきました。他の社員の方々とも自然にコミュニケーションをとっているようで、昼食も食堂で食べていることをお聞きしました。
二つ目は、株式会社マキテック米沢工場です。こちらでも、高等部3年生徒1名がお世話になり、訪問した際は、広い工場内のコンクリートの床のペンキ塗りをしていました。長い時間をかけて塗り残しなく隅から隅まで塗らなければならない大変な作業でしたが、疲れた顔も見せず、黙々と丁寧に作業を続けていました。担当の方からは、大変まじめな仕事ぶりで、工場としても助かっていることと、この生徒にはこのような作業が合うようだと評価していただきました。
工場の床のペンキ塗り作業を行う生徒 いずれにおいても、生徒が大変よく頑張って働いていたことと、学校とは違う「働く顔」になっていたことが印象に残りました。
また、高等部1年生や事情により外部での実習ができなかった2・3年生は、「校内実習」を行いました。その中で、高等部1年生は、外部から講師を招いて、窓の磨き方や床掃除の仕方を教えていただき、実際に校内の窓や廊下の床を清掃する作業などに取り組みました。窓磨きでは、基本的な道具の使い方を学んだほか、どの作業工程でどの道具を使ったらよいかなど、実践的な指導を受けることができ、生徒たちは、教わったことをすぐに実践で生かすことができました。床掃除では、床掃除の仕方や作業の手順などを中心に学び、生徒たちは、効率よくかつ拭き残しがないよう丁寧に掃除を進めていました。このほか、校内実習では、お客様用のいすのさび落としや企業から外注していただいた作業にも取り組みました。
高等部の生徒にとっては、6月は、他の月よりも特に働くことを学ぶ一か月になりました。今後の学習や生活においても、ぜひこの度の実習の成果を生かし、自分が希望する進路の実現に向けて頑張っていきましょう。
令和3年7月7日
山形県立米沢養護学校
校 長 飯 野 明