ついこの前、入学式が終わって平成28年度がスタートしたばかりと思っておりましたが、もう6月。子どもたちもすっかり衣替えをして(私はより早くクールビズになっておりましたが)、夏の暑さとバトルしながら学習している毎日となりました。
この「校長室だより」も3号目となりましたが、果たしてどなたかに読んでいただいているのだろうかと少し不安に思っていました。そうしたとき、先日いつものように登校時に玄関前で子どもたちをお迎えしていると、小学部のあるお母さんが私に次のように話し掛けてくださいました。
「校長先生と私も同じなんです。先生方から『○○さん』と子どもに声を掛けてもらうんだけど、私はその先生の名前を覚えてなくて、申し訳ない気持ちなの。」
このとき、この方には私からの発信が届いているのだと知ることができ、とても嬉しくなりました。その日一日は廊下を歩くときも自然とスキップが出るほどで、褒められて伸びる子どもたちの気分を久しぶりに味わうことができました。お母さんに感謝、感謝です。
伸びるといいますか子どもそれぞれの成長は、毎日一緒にいる場合、なかなか見つけにくいものかもしれません。けれども毎日確実に成長していると私は確信します。
たとえば3年前に小学部だったAさんは、私が学級等に授業参観に行くと、興味・関心があるのかにこにこして近づいてきて、私の周りを歩き回っていました。そこで「こんにちは」とこちらから話し掛けて近寄ろうとすると、Aさんは今度は私から離れていきます。恥ずかしさで気持ちを率直に表現できないのでしょうか、そのうちに私は転勤となりましたが、3年ぶりに戻ってきたらAさんはまた私を見てにこにこと笑顔をくださいました。そのとき「おはよう」という言葉が一緒に発せられたのです。以前は、こちらから声を掛けても帰ってくる言葉はほとんどなく、たまに発しても「う~ん」とかくらいだと記憶しています。それが、自分から近づいてきてはっきりと挨拶してくれるなんて感激でした。これは、成長の証であると思っています。
今年は、天候に恵まれて「運動会をしよう」の学習は、ほぼばっちりと進みましたが、前日の夜から当日だけ(しかも当日の午前中だけ)が雨天となり、運動会の本番は中止となりました。しかし、当日体育館で行った小学部や中学部、訪問教育のスモール運動会や、翌月曜日に行われた高等部の記録会においては、それまでの積み重ねの成果でしょう、みんな持てる力を十二分に目一杯発揮してくれました。これもまた成長の証です。
まもなく高等部の生徒にとっては、1学期の山場となる「現場実習」が始まります。ここでも成長の証を見せていただけると信じていますが、実習は特に家庭の協力が大事になります。最終の目標、期待する姿をイメージしながら共に取り組んでいきましょう。褒めて、褒めて・・・。
平成28年 6月
県立米沢養護学校
校 長 大 原 良 紀